お気に入りの映画「ガール・オン・ザ・トレイン」。
こちらは2016年の作品ですが、最近ネットフリックスでリメイクされているのを発見。
ボリウッド映画「ミラ:ガール・オン・ザ・トレイン」も鑑賞したので、そちらもあわせてご紹介していきます。
『ガール・オン・ザ・トレイン』の作品紹介
作品概要
タイトル (原題) | ガール・オン・ザ・トレイン (The Girl on the Train) |
上映時間 | 112分 |
公開 | 2016年 |
製作 | アメリカ |
監督 | テイト・テイラー |
原作 | ポーラ・ホーキンズ |
登場人物 (俳優)
レイチェル/旧ワトソン (エミリー・ブラント)
トムの前妻でアルコール中毒。今は友人の家に世話になっている。飲酒で記憶を失うことがよくある。
アナ・ワトソン (レベッカ・ファーガソン)
トムの妻。幼い娘の育児で疲れ気味。レイチェルを怖がっている。
メガン・ヒップウェル (ヘイリー・ベネット)
スコットの妻。子供を欲しがるスコットに言われベビーシッターとしてアナの子供の面倒を見ている。精神的に問題を抱えカマル医師に担当してもらっている。子供を望んでいない。
トム・ワトソン (ジャスティン・セロー)
レイチェルの元夫。今は浮気相手だったアナと結婚しレイチェルと住んでいた家で暮らす。アナとの間に娘が一人いる。前の仕事はレイチェルの飲酒が原因でクビになったと話す。
スコット・ヒップウェル (ルーク・エヴァンス)
メガンの夫で子供を欲しがっている。
その他
- キャシー (ローラ・プレポン)…レイチェルのルームメイト。大学時代からの友人で行くあてのないレイチェルを2年間住まわせている。
- ライリー刑事 (アリソン・ジャネイ)…メガン失踪事件を捜査する女刑事。
- カマル医師 (エドガー・ラミレス)…メガンを担当していた精神分析医。患者に真摯に向き合う男性。
- マーサ (リサ・クドロー)…トムがクビになった会社の元上司の妻。
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翻弄される 3人の女性たち
この作品でポイントとなるのは、ク〇男トムに翻弄される3人の女性です。
彼女たちについて、掘り下げていきましょう。
レイチェル
結婚し幸せな生活を送っていましたが、トムとの間に子供ができず、お酒に溺れてしまいます。
お酒の過剰摂取から記憶をなくすことも少なくありません。お酒で攻撃的になり、家で暴れるレイチェルのことをトムから聞きますが、自分のしたことだと実感できず、心の底から反省できない自分自身を責めていました。
ある日トムが会社をクビになります。トムの上司が主催するパーティーに二人で参加した時、レイチェルが暴れ、上司の妻・マーサにひどい暴言を吐いたことが原因だったとトム聞かされ、とうとう愛想をつかされてしまいます。
映画が進むにつれ、真実が明らかとなっていきます。
離婚後レイチェルは友人宅に身を寄せ、定職にも就かず電車に一日中乗車する毎日。電車の窓から見えるのは、自分が暮らしていた家。そこにはトムの浮気相手だったアナと、その子供。
そして二軒隣の、理想のヒップウェル夫婦に夢中になっていました。もともと想像力豊かなレイチェルは、直接面識のないメガンの人となりを勝手に想像していました。ある日、メガンが見知らぬ男と抱き合いキスする様子を見て、裏切られた気持ちと怒りを覚えます。
その日も泥酔していたレイチェルは、メガンを問いただそうと電車を降り家に向かいます。トンネルでメガンらしき女性を見つけ追いかけるも、目が覚めると自分の部屋。身体には覚えのない傷と血がついていました。そんなレイチェルのもとに刑事がやってきて、メガンが失踪したと聞かされるのです。
当日の行動や愚行から刑事に疑われるレイチェルは自分で事件の真相を追い始めます。メガンの夫・スコットにメガンが浮気していたことを教え、その浮気相手であろうカマル医師に会うために患者を装います。メガンが浮気していたと思い込んでいるレイチェルは、スコットに自分を重ね役に立とうと協力するのです。
そして、失踪中だったメガンが森で遺体で発見されたと知り動揺します。
自分が彼女に何かしたのか?夢と現実の区別もつかないレイチェル。自分が人を殺すなんて想像もできなかったけれど、同時にトムとの事もあって自分を信用できません。レイチェルはトムによって、自分には価値がないと思い込まされていたのです。
アナ
育児で仕事からは離れていますが、元は不動産に勤めていました。
レイチェルとトムが結婚し、新居を決める際担当したのがアナです。トムとの不倫のきっかけにもなりますね。レイチェルから略奪婚しているわけですから、トムが妻を裏切ることのできる人物だとアナも分かっているはずです。わかったうえで一緒になるのって、どんな感情からでしょうか。レイチェルへの優越感か、自分が浮気相手だったことへの意地か、はたまた自分は特別だとでも思ったのでしょうか。だってそんな相手を信用できるはずありませんよね。
レイチェル側の立場になってわかることもあるでしょう。トムの過剰な性欲や、親としての自覚のなさ、女性を見下し軽視する姿勢など…アナも気づいているはずです。
レイチェルには、無言電話や過去に一度子供を誘拐されそうになったこともあり、アナは恐怖を抱いています。トムに相談し彼女と話し合うよう求めますが、まともに取り合ってくれません。トムはレイチェルを「哀れな女だから」と言いますが、レイチェルを放っておくのは他に理由があるからです。
例えば、何度もかかってくるという無言電話。果たしてレイチェルだけの仕業なんでしょうか。奇行を繰り返すレイチェルは、トムにとって他の行為を隠すため、都合のいい存在であると言えます。
メガン
兄と両親を亡くしていて、17歳の時に当時の恋人・マックの娘を出産しています。しかし、自身のミスで娘を亡くしてしまいます。
アナの子供を世話している様子を見て、はじめは子供が嫌いなのかと思いました。でも実際は、愛する娘のことを思い出してしまっていたからなのでした。
そのことで深い傷を負い、本心を隠し、自分を罰するように軽い女を演じ、トムやスコットの好きにさせていたメガン。子供は欲しくないと、スコットを嫌がる場面も。
カマル医師に「育児は簡単だった」と話すメガン。娘を深く愛していたから、なにも苦になることはなかったと語ります。
育児疲れしているアナに苛立つ場面もあったのは、羨ましさや複雑な感情も入り混じっていたのかもしれません。
メガンの誘うような態度にも乗らず、誠実に向き合ってくれたカマル医師。おかげで再び子供を持ち前に進もうとしていた矢先に、メガンは殺害されてしまいます。
妊娠がわかり、その相手がトムだというのは少し不思議ではありました。トムやスコットと何度も関係を持っていたことから、相手を断定するのは難しいと思います。感覚的にそう感じたのか、メガンにとってはもはやどちらの子供でも関係ないことだったのかもしれません。
メガン役のヘイリー・ベネットは、私が好きな女優。独特な艶っぽさと、影を持つ雰囲気。他の人にはあまり見られない、彼女の特徴だと感じます。好みがわかれるお顔だとは思いますが。
『ガール・オン・ザ・トレイン』原作と映画のちがい
原作を書いているのはイギリスの小説家ポーラ・ホーキンズ。なかなかヒット作に恵まれなかった彼女が書き上げた本作はベストセラーとなりました。
2014年に公開された「ゴーン・ガール」が話題になりましたが、それと雰囲気の似た良質なミステリーサスペンスに仕上がっています。
『ミラ:ガール・オン・ザ・トレイン』 は結末が違うので別物といった感じですが、『ガール・オン・ザ・トレイン』は、原作のシリアスな雰囲気を壊さず再現していたと思います。
もちろん原作との違いはあります。
映画でのカマル医師は、メガンの幾度となる誘惑に耐え、不屈の精神でプラトニックな関係を貫いているように見えますよね。でも、安心してください(?)。原作ではばっちり関係を持っています。それはスコットとレイチェルもしかり。
そのあたり映画では綺麗につくられていますが、やはり医師も男でした。この作品はカマル医師以外、ロクな男がいません。
トムは説明不要のク〇野郎ですし、メガンの夫・スコットも、彼女を大切にしているようでそうではない。彼なりに愛していたのは確かですが、それも独りよがり。メガンの考えや思いを知る努力はせず、常に自分の感情を優先させていました。そしてどちらも、女性に対して威圧的。
『ガール・オン・ザ・トレイン』の原作を無料で楽しもう
「ガール・オン・ザ・トレイン」を読むなら、音声で聴けるAmazonのAudible(オーディブル)がおすすめです。
原作は上下巻ありますが、本とも映画ともまた違った感覚で楽しめます。映画を観たあとで聴くと、緊迫したシーンではより想像力が膨らみます。
原作のほうが映画より少しドロドロしていますが、レイチェルやメガンの心の内がより深く理解できるかと思います。口コミの評価も高く、とてもおすすめです。
ボリウッド映画『ミラ:ガール・オン・ザ・トレイン』
『ミラ:ガール・オン・ザ・トレイン』は2021年にネットフリックスで公開されたボリウッド映画で、インド本国でとても話題になりました。
今作のリメイク映画です。
今や、ハリウッド映画と並ぶ勢いだと評価されています。
インド映画の特徴
インド映画の特徴といえば皆さんもご存じ、作中に盛り込まれた歌とダンスですね。このスタイルは賛否両論あって、苦手な人も多いと思っています。
わたしがインド映画をまともに見たのは「スラムドック・ミリオネア」が最初でした。
2008年頃の作品で、当時はボリウッドという言葉も周知されていなかったんじゃないかな。ラストは万事解決ハッピーエンドのでき過ぎストーリーだったけど、とても感動していたんです。
そしたらエンドロールに突入すると同時に、突然踊りだす登場人物たち。それにびっくりして映画の感動が3分の1くらい持っていかれたのを覚えています。あれ、そんな話だったっけ?みたいな。
そんな初体験を経て、インド映画に少しの苦手意識を持ちながらも、翌年に見た「きっと、うまくいく」は、そんな苦手意識をみごと吹き飛ばしてくれました。
わたしの中にすでにインド映画に対する抗体ができていたからか、この作品がコメディだったからか、歌って踊るスタイルをすんなり受け入れることができたんです。
他にも「バーフバリ/王の凱旋」や「ガリーボーイ」は、クセが少なくておすすめ。
インド映画を見てきて思うのは、その作品のストーリーやジャンルによって、インド映画のスタイルが合う合わないはどうしてもあるってこと。
なのでこれからインド映画に挑戦する人や、苦手と思っている人は、さっきおすすめした作品から観てみたらいいかもしれません。
『ミラ:ガール・オン・ザ・トレイン』 ハリウッド版とのちがい
ぶっちゃけ『ミラ:ガール・オン・ザ・トレイン』は、ハリウッド版と別物と考えて鑑賞するのがいいでしょう。
事件の結末も脚色され、犯人も違う人物になっています。
ストーリーのベースは大体同じですが、全体的にだいぶ軽く仕上がっています。主人公・ミラ役のパリ二ーティ・チョープラはとてもかわいくてきれいな俳優さん。
が、アル中でも傷があっても作中ずっときれいなままで違和感しかなかったです。しかもミラは超アクティブに行動します。
殺人の疑いがかかったと知るやいなや逃走し、刑事さながらの捜査を繰り広げます。綺麗な顔についた、大きな傷をアピールしたいのでしょうけど…警察から逃げるなら、人相の前にその傷を隠してくれまいか…。しかもその大きな傷に、久しぶりに会った知り合いは一言も触れやしないとはなんぞや。
ハリウッド版はもっと重くシリアスで、ミステリー色が強いです。主人公の孤独な雰囲気や、酒に溺れてくたびれた感じをエミリー・ブラントが好演しています。
わたしはリメイクとしてこの作品を見て、しかも原作まで読んでいたから辛口になってしまいました。前知識無く見れば、軽いサスペンスとして楽しめたかもしれません。歌やダンスは控えめではありますが、やっぱりサスペンスものに歌が入ると気が散りますね…。
しかし、最後のどんでん返しは必要だったのか?
意外性が必ずしもいい方向に向かうとは限らない。と、この映画を見て思いました。
まとめ
3人の女性が不幸にも一人のク〇野郎に翻弄される映画『ガール・オン・ザ・トレイン』。
立ち位置は違えど、一人の女性としての価値や、母親になることへの思いをそれぞれ描いています。わたしはそこがこの映画のみどころととらえているので、リメイク版はちょっと辛口になっちゃいましたが…正直な感想です。
こうして比べてみるのも、それぞれの良さや違いに気づけて面白いかもしれませんね。
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